こんにちは、株式会社インディバースの河合大です。
- SEOのアフィリエイトで、どこをどう改善したら売上が上がるか分からない
- CVR改善もしてみたいが、具体的に何をすればいいか分からない
という方向けに、
- 売上改善を行う際に認識しておくべきKPI
- 売上改善を行う際の手順
について解説します。
SEOアフィリエイトメディアに関するKPIの理解
SEOアフィリエイトメディアで売上改善をする前に、具体的なKPIを理解する必要があります。
KPI: 記事ごとのPV・CVR・平均単価・承認金額率
具体的なKPIとしては、記事単位で以下の数値を見ていきます。
- PV
- CVR
- 平均単価
- 承認金額率
たとえば、
- PV数: 300
- CVR: 1%
- 平均単価: ¥30,000
- 承認金額率: 50%
とすると、売上はPV * CVR * 平均単価 * 承認金額率
になるため、¥45,000になります。
KPI改善をする際は、改善できる最大改善幅の理解が重要
さて、KPIを改善していく際に重要なことがあります。
それは、KPIごとに改善できる最大改善幅を把握しておくということです。
たとえば、改善できるCVRの数値が最大でも1%のクエリで、CVR2%を目指してCVR改善をしても対して効果がありません。
各KPIごとの定義について
それでは、それぞれのKPIごとの定義を記載していきます。
PV数
PV数は、GA4でいうとScreen Page Viewsになります。ユーザー単位でもよいでしょう。普段使っているものを使って下し。
PV数は、
- 対策しているキーワードの月間検索ボリューム
- 検索上位結果でのCTR
の変数で決まります。
月間検索ボリュームに関しては、
- 内包する関連キーワード
によって変化しますが、ほぼコントロールは難しいので、いったんは定数として理解してよいでしょう。
一方で検索結果のCTRの場合は、
- 検索順位
- タイトル/メタの魅力度
- サイト自体の知名度
などによって決まります。
これらの指標はコントロール可能な変数になります。
CVR
アフィリエイトのCVRは、以下の様なKPIがあります。
- 全体CVR:コンバージョン数 / PV
- 記事CTR: アフィリンククリック数 / PV数
- 商材CVR: コンバージョン数 / アフィリンククリック数
順に説明しますね。
全体CVR
全体CVRは、「ユーザーが記事を閲覧(=PV)してから、広告主ページでCVが発生するまでの率」を指します。
図にすると、以下のようなファネルになります。
記事でアフィリエイトリンクをクリックして、広告主ページでCVするまでの値を計測した数値となります。
全体CVRから、以下のことがわかります。
- 記事からどれくらいの確率でCVが出ているのか
- 検索意図に合致した訴求ができたか
逆にわからないこととしては、
- それが記事内での訴求が有効だったか(後述する記事CTRで測定可能)
- 訴求した商材が魅力的だったか(後述する商材CVRで測定可能)
です。
記事CTR
記事CTRは、「ユーザーが記事を閲覧してから、アフィリエイトリンクを押す確率」を指します。
図にすると、以下のようなファネルになります。
記事CTRから、以下のことがわかります。
- 記事での広告主への訴求が顧客にとって魅力的に映っているか
逆に、わからないこととしては
- 実際にユーザーが申し込んでいるか
です。
商材CVR
商材CVRは「ユーザーがアフィリエイトリンクをクリックしてから、広告主ページで成約する確率」を指します。
図にすると、以下のようなファネルになります。
商材CVRから、以下のことがわかります。
- 商材は顧客にとってどのくらい魅力的か
- 記事との訴求と広告主LPとの期待値のズレがないか
基本的なゴール指標として全体CVRを追う
CVRを改善する場合の結果指標としては、全体CVRを追いましょう。弊社のメディアアナリティクスも、この全体CVRを計測しています。これによって再現性高く売上を伸ばすことができます。
ゴール指標を達成するための補助的に中間KPIとして記事CTRと商材CVRを追う
また、中間KPIである記事CTRと商材CVRは、あくまでもゴール指標を説明するための変数として認識しておきましょう。
サブKPIへの部分最適は効果が出ない理由
一般的なSEOアフィリエイトメディアの運用では、サブKPIのみしか見ていないケースの方が多いかと思いますが、これは成果が出しづらいです。
例えば、GA4にアフィリエイトリンククリックイベントを指定し、記事CTRのみ算出しているケースです。
このような例では、下記の問題が起こります。
- 記事CTRは高いけど、商材とのミスマッチで商材CVRが低いケースを見逃す
- 結局CVまで繋がったかどうか判断できないため、CTRが高まったからと言ってCVが増えるとは限らない
①記事CTRは高いけど、商材とのミスマッチで商材CVRが低いケースを見逃す
例えば、「無料登録」というCTAを配置していたのに、実際のLPを見ると「無料カウンセリング」になっていたとします。その場合、
- お、登録するだけでいいんだ!
と思って記事CTRは上がるかもしれませんが、LPへアクセスした後に
- あれ、カウンセリングしないといけないのか…
- 「登録だけだと思ったら、カウンセリング受けないといけないのか。面倒くさいな。」
と思い、商材CVRは落ちるかもしれません。
とユーザーが思うかもしれません。
全体CVR = 記事CTR * 商材CVRなので、例えば記事CTRが上がってもそれ以上に商材CVRが下がって終えば、全体CVRは下がります。
より抽象的にまとめると、それぞれのサブKPIは相反関係にある可能性もあるので、どちらかに偏ると全体CVRが低下する可能性があります。なので、あくまでも成果としてCVRを追う場合は、全体CVRにフォーカスしていく必要があります。
②結局CVまで繋がったかどうか判断できないため、CTRが高まったからと言ってCVが増えるとは限らない
記事CTRのみ最適化したところで、それが本当にCVに寄与したか判断できません。どれだけクリックされていたとしても、結果指標として全体CVRが見えないと、そのページからいくつCVしたかはわからないので、クリック率が増えたからと言ってCVが増えたとは言えないのです。
全体CVRを計測するには
本来であれば記事ごとの全体CVRを算出したいはずですが、ほとんどのアフィリエイトメディアでは全体CVRを算出することはできません。これは、コンバージョンでどのページが発生しているか分からないためです。
そのため、記事ごとのコンバージョン数を算出するためには、コンバージョンに記事ごとのリファラを見れるようにしてあげる必要があります。詳しくは以下の記事を確認してください。
平均単価
平均単価は、発生金額をCV数で割った数値となります。
たとえば、
- 5000円
- 3000円
- 4000円
の3CVが発生した場合、平均単価は¥3,000です。
こちらも商材のカテゴリによって、だいたいの最大単価は決まっています。
承認金額率
承認金額率は、承認金額を発生金額で割った数値となります。
承認金額率をあげるには、
- 質の高い送客
- ビックキーワードでの露出
を通して、広告主から承認率保証などを交渉してみるとよいでしょう。
記事ごとの改善幅の算出
それでは、これから記事ごとの改善幅の算出をしていきましょう。
前提:やってはいけないこと
売上改善をする際に、注意しておくべきなのは、「最大どこまで改善できるかわからないまま改善を進めること」です。
たとえば、CVRが最大でも1%までしか出ないキーワードで、CVR2%を目指しても、リソースの無駄遣いになってしまいます。
それゆえ、KPIを改善する前に、どれくらい改善幅が大きいのか先に見積もることが重要になります。
本来であれば、キーワード選定のタイミングで、PV、CVR、平均単価、承認金額率の全てをシミュレーションしておくべきです。
となります。
売上改善幅の算出方法
まず、現状の記事ごとの
- PV
- CVR
- 平均単価
- 承認金額率
を算出します。
次に、各種KPIの最大改善幅を指定します。たとえば、このクエリではCVRが最大でも2%、単価は¥20,000まで出るとします。そうすると、以下のような設定になります。
そうすると、売上の改善幅は、¥60,000 – ¥45,000 = ¥15,000と出てきます。
- before: ¥45,000 = 300pv * 1% * ¥10,000 * 50%
- after: ¥60,000 = 300pv x 2% * ¥20,000 * 50%
つまり、この記事では、
- CVR改善でCVRを2倍にする
- 特別単価交渉で2倍にする
ことで、¥15,000の改善が見込めるということになります。
全ての記事で改善幅を抽出する
次にやることは、この売上改善幅を全ての記事に対して設定することにあります。
こうすることで、どの記事が最も売上改善幅があるのかが明確になります。
改善幅の大きい記事から施策を実施する
売上の改善幅の大きい記事からテコ入れするといいでしょう。
なぜ記事ごとの改善幅の算出するか?
なぜ記事ごとの改善幅を算出するかというと、シンプルに「優先順位をつけやすいから」です。
たとえば、ぱっと見5000PVの記事と、500PVの記事を見た時に、5000PVの記事の改善をした方がインパクトがありそうに見えるかもしれません。
しかし、ここに平均単価や承認率などの変数が加わると、必ずしもそうとは言えないのです。
よって、これら全ての変数を総合的に判断することで、より売上に貢献する施策について考えることができます。
まとめ
ということで、
- 記事ごとにPV, CVR, 平均単価, 承認率を追う
- それぞれのKPIに対して、最大の目標数値を設定する
- 現状との売上改善幅が最も多い記事から施策を実施する
ということが必要になります。