CVR改善をこういうふうに進めると、再現性高く運用できるよ、といったノウハウについてまとめていきます。自社で2年近く組織で改善を回してきた知見をもとに解説します。
1. テコ入れする対象となる記事を決める
まず、どの記事に対してテコ入れするか決めます。どの記事でもいいかというとそうでもないので、以下の記事を参考にどの記事にするのか決めてみてください。
次に、どの変数を上げるのか決めておきましょう。記事ごとにPV, CVR, 平均単価, 承認率を洗い出し、理論的にどこまで目指せるのか把握しておくと良いでしょう。
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2. 検索意図の分析
さて、ここからが本題です。SEOでもお馴染み検索意図の分析です。といっても、少しSEOとは異なります。
まず、クエリの特徴を見ていきます。SEOアフィリエイトのクエリに関してはだいたいいくつかのグルーピングできるかと思います。分けられるかと思います。代表的なグルーピングについて説明すると、以下のようになります。
- ビックキーワード比較
- ロングテールキーワード比較
- 商標キーワード
- ネガティブ系キーワード
- DO / GO / BUY / 地域キーワード
このクエリグループに関しては、だいたい同一クエリグループでのCVRの下限と上限は近似する傾向にあります。
ビックキーワード比較:
例) 医療脱毛 おすすめ / 転職エージェント 比較
CVR相場: 1-2%
ビックキーワード比較は、とにかくSEOでどこも取りたがるキーワードになります。しかし、実は思ったよりもCVRは高くないです。後述しますが、ロングテール比較系のキーワードの方がCVRは高くなります。
このタイプのクエリは、選び方についてかなり冒頭で解説してあげるとCVしやすい傾向にあります。前半パートは選び方の観点について説明、後半パートにおいてCTAを置いていくイメージです。
ロングテールキーワード比較
例) 医療脱毛 安い
例) 転職エージェント コンサルタント
CVR相場: 3-15%
ロングテールキーワードの比較系クエリの場合、実はニッチで空いてるケースも多いです。CVRは非常に高くなる傾向があります。
このクエリグループの特徴としては、ユーザーはある程度選択軸を持っているので、選び方については答えが出ていて、あとはその選び方に沿って必要な情報が見やすくまとまっていることが重要になります。構成としても記事の前半に結論が出ているものの方がCVが出やすい傾向にあります。
商標キーワード
例)リクルートエージェント 評判
CVR相場:0.6-2.0%
対象となるキーワードにアフィリンクがあり、その商材に対して動線を敷く場合と、アフィリンクがなく別商材に動線を敷く場合によって、CVRは異なります。こちらに関しては、とにかくデメリットの観点から、いかにデメリットを減らすか、もしくはデメリットを打ち消す商材を押し出すか、でCVしやすくなるクエリになります。
ネガティブ系キーワード
例)仕事 行きたくない
CVR相場: 0.1% ~ 0.4%
こちらのキーワードは、上の3つと異なり、かなり検索意図が曖昧になります。そのため、ページ上部で態度変容を行わせるようなライティングを行う必要があります。アド媒体でやるような潜在層向けLPのような構成でCVしやすいキーワードとなります。
DO / GO / BUY / 地域キーワード
例)エンジニア 派遣
例)医療脱毛 埼玉
CVR相場:1.5-3%
これらのクエリは、CVRが非常に高くなる傾向があります。また、比較系ロングテールキーワードと似たような構成にすることで、CVRは高くなりやすい傾向にあります。
3. 過去のCVデータの確認
特定の記事から発生したCVデータの確認をします。特に、Microsoft Clarityと連携して、CVが実際に発生したレコードをとにかく観察すると良いでしょう。その際見るべきポイントは、
- どういう動線でCVに至るのか
- どういうCTAでCVするのか
これを定量的・定性的に分析していくと良いです。
分析の手法はこちらで深く解説しています。
ポイントとしては、クエリグループによって行動パターンがかなり変わります。ですので、こういうクエリだとこういう行動をする、というパターン認識をいくつかできると良いでしょう。
過去の行動データが存在しない場合、同一クエリグループのキーワードを分析してみて知見を得るのも良いでしょう。
過去施策の確認
同一ページで過去施策が存在する場合、過去にやっていてうまくいった施策、うまくいかなかった施策が存在しないか確認します。
定量分析
以下確認してください。
- 該当ページでの発リンククリック数(率)
- 該当ページでのアフィリエイトリンククリック数(率)
- 該当ページでのアフィリエイトCVR
そして、CVRの低い動線に対して離脱が増えていないか確認し、あれば除外します。これだけでもかなりCVRが上がります。
こちらについても、過去の記事で解説しているのでご確認ください。
仮説立て
CVRが低い理由、高い理由をいくつか洗い出していきます。見ていく観点としては、以下が汎用的に課題になってるケースが多いです。
- クエリタイプと構成の不一致
- クエリと送客する商材の不一致
- アフィリエイトリンクのリンク切れ/直リンク
- 比較軸と商材の不一致
この辺をしらみつぶしに洗い出していきます。
施策立案
ようやく、施策立案です。
以下のフォーマットに従って、施策を作成します。
## 背景
※今回改善したいKPIなどの仮説を記載してください
- 今回xxx 評判という記事に対して、CVR改善を行う。理論的にはxxx%まで狙えるはずなので、改善後の売上はxxx円上がることが想定される。
## 仮説
※売上の上げるための仮説と根拠とセットでまとめてください
※根拠となるデータは、いつ、誰が、どこで、どのような手法で取得したのか分かるようにしてください
- アフィリエイトリンク以外のリンクでの離脱が高い
- 特に、Xの引用から離脱しているクリックがxx件あった
根拠:
・過去60日間の該当ページの発リンクのクリック数をGA4から算出
・過去30日間の該当ページのヒートマップ、レコーディングをMS Clarity から選択
## メソッド
※具体的な施策内容について記載してください
- 離脱の大きかった、xxxの離脱を減らす
ポイントとしては、とにかく
- どういう意図で
- 何を根拠に
- どんな施策を打ってどうなったのか
とにかくログを残していくことです.これを繰り返していくとこによって、CVRは少しずつ全体で上がっていきます。また、チーム全体での底上げもしやすくなります。
振り返り
データとして有意差を検証できるような比較期間を指定します。だいたい、それぞれで最低でも200PVは確保できると、大雑把には検証できるかと思います。
その上で、期間が終了した後に何かしらのCVRに影響があったのか確認していきます。うまくいけば、抽象化して何がうまくいかなかったのか。うまくいかなかったのであれば、少なくとも次回全く同じ施策をしなくてもよいので、ログを残しておくようにしましょう。
注意点
施策の効果検証をする際に、過去にやっていて失敗したことについて記載します。
一度に複数施策を実行しない
一度に複数施策を実行すると、施策のうち何が成果が出たのか判断しづらくなります。例えば商材変更と発リンクの削除を同時に実行した場合に成果が出たとき、どちらが有効だったのか判断しづらくなります。多変量解析が必要になるので、検証するときの実験デザインや、必要なデータ量、また検証にかかる時間も増えます。
ですので、なるべく1施策1改善がおすすめです。
ただし、検証を目的にするのではなく、とにかく売上を上げたい場合、かつ成果が出るのが自明な方法がある場合は、この限りではありません。どんどんやってしまって良いと思います。
検証する前に検証方法を決めておく
施策実行時、検証方法を決めておきましょう。例えば、離脱リンクを減らすことで、CVが増えるという仮説を立てたのであれば、施策実施前後の
- 記事全体のCVR
- アフィリエイトリンクCTR
などを前後で比較することを、施策実施前に決めていきましょう。