こんにちは、株式会社インディバースの河合大です。
度重なるコアアルゴリズムアップデートで、大きなダメージを受けた方も多いのではないでしょうか。
- アフィリエイトメディアの売上が下がったけど、どう対応していいかわからない
という形向けに、今回は
- アフィリエイトメディアの売上が下がったら、どのKPIを見ればいいか
- あるKPIが下がったら、次に何をすればいいか
について解説していきます。
前提:売上が下がった時に気を付けるべきこと
売上が下がった場合、特に気を付けることは、
- コントロールできない要因
- コントロールできる要因
の切り分けです。季節性変動のように、メディア運営者ではどうしようもないようなコントロールできない要因で売上が落ちている場合、テコ入れすることはできません。
一方で、記事単位のクリエイティブの差分によって、CVRが落ちた場合は、過去のリビジョンにすればCVRは戻ります。
このように、自分たちでどうにか改善できるものなのか、そうではないのか切り分けて行くことが非常に重要になります。
アフィリエイトの売上が下がったときに見るべきKPIとは?
アフィリエイトメディアで売上が下がった時、売上の構成を分解して見ていくことが非常に重要になります。その際、以下のKPIを見ていくとよいです。
- メディア単位のKPI
- 記事単位のKPI
- 記事グループ単位のKPI
- プロモーション単位のKPI
について解説していきたいと思います。
概念図として、ざっくりと画像を貼っておきますが、後半で詳しく解説いたします。
基本的には、
- メディア単位→記事単位
- メディア単位→プロモーション単位
- 記事グループ単位→記事単位
といったように、大きいカテゴリからブレイクダウンして細かいKPIを見ていくとよいでしょう。
メディア全体のKPI
メディア単位は、メディア全体の全体感を把握していく上で重要なKPIになります。メディア全体を見る場合は、以下のKPIを見ていきます。
- メディア全体の発生件数
- メディア全体の平均発生単価
- メディア全体の承認金額率
メディア全体の発生件数
発生件数は、月間でどのくらいコンバージョンが発生したかっていう数値です。まず全体の発生件数が減っているのか確認してみましょう。
もしメディア全体の発生件数が下がっている場合は、
- 記事単位のKPIを確認する
- プロモーション単位のKPIを確認する
といった形で、分析していくとよいでしょう。
メディア全体の平均発生単価
平均発生単価は、1CVあたりの単価の平均になります。この金額が低くなる場合は、
- 特別単価が下がった
- 単価の低い商材の割合が増えた
のどちらかになります。これらの要因をさらに分析するには、プロモーション単位のKPIを確認するとよいでしょう。
メディア全体の承認金額率
最後に承認金額率。これは承認金額を発生金額で割った数値になります。
こちらの数値が下がっている場合は、
- 特定の案件の承認率が減った
- 承認率が低い案件に件数が集中した
のどちらかになります。
こちらも、プロモーション単位の分析を掘り下げてみるとよいでしょう。
記事単位のKPI
次に記事単位のKPIです。
メディア全体の売上というのは、全ての記事の売上の総和になっているはずです。ですので、どこかしら記事の売上が先月と比べると落ちているものがあるはずなので、その記事単位でボトルネックを分析していく形になります。
記事単位で見ていく場合、以下のKPIを見ていきます。
- 記事ごとのPV
- 記事ごとのCVR
- 記事ごとの平均単価
- 記事ごとの承認率
記事ごとのPV
記事ごとのPVは、過去1ヶ月でアクセスされたPV数になります。このPV数が落ちていないか確認してみましょう。
PV数が落ちている場合、多くの場合は以下のいずれかになります。
- 季節性変動【コントロールできない要因】
- 検索順位の下落【コントロールできる要因】
- 獲得KW数の下落【コントロールできる要因】
まず、コントロールできない要因で下がっていないかを疑いましょう。そして②、③の影響がなさそうであれば静観しましょう。逆に検索順位が落ちている場合は、SEO対策が必要になります。獲得KW数の下落が起こっている場合は、より細かくどのキーワードで流入が減っているのか確認が必要になります。
記事ごとのCVR
次に、記事ごとの過去1ヶ月のCVRを確認してみましょう。CVRが減少している場合は、以下の原因であることが多いです。
- 季節性変動【コントロールできない要因】
- 広告主LPの変化【コントロールできない要因※ 商材変更なら可能】
- 直近の過去施策によるコンテンツの差分【コントロールできる要因】
それぞれ詳しく見ていきましょう。
季節性変動
PV数に季節性変動があることはわかりやすいと思いますが、実はCVRも季節性変動を受けます。例えば、弊社の運営しているメディアは転職領域ですが、転職エージェントのCVRは季節性の影響をもろに受けます。だいたいの場合はPV数と相関してCVRは減少する傾向にあります。
広告主LPの変化
紹介している広告主LPに差分があるケースです。例えばリニューアルのタイミングなどで、
- LPのCVRが下がった
- 計測タグの入れ忘れがあった
などのケースで、CVRが落ちるケースもあります。
広告主LPに変化があるかどうか確かめるには、Wayback Machine簡易取得ツールを利用すると、広告主LPの変化があったタイミングがわかるのでおすすめです。
直近の過去施策によるコンテンツの差分
直近、対象の記事に対してテコ入れを行った際に、CVRが落ちている可能性があります。その場合、元のリビジョンに戻すことでCVRを元に戻すことができます。
スプレッドシートなどで施策を記事ごとに管理しておけば、どのタイミングで何をしたかすぐ把握しやすいので、運用する場合はそのような形で対応するとよいでしょう。もし管理していなければ、Wayback Machine簡易取得ツール を利用してみるのもおすすめです。
メディアアナリティクスを利用する場合は、施策機能を利用して、過去のABテストの結果を分析するとよいでしょう。
記事グループでの売上分析
記事グループ全体で見ていく視点ですね。記事グループは、類似の記事をグルーピングしていくことでみることができる変数になります。
例えば、
- 転職エージェント 千葉
- 転職エージェント 滋賀
- 転職エージェント 佐賀
という記事があったら、
- 転職エージェント x [都道府県]
のようにグルーピングしていくようなイメージです。
なぜ記事グループを使うか
なぜ単一の記事のみで見ないかというと、単一の記事だけだと傾向を掴みづらいからです。複数記事をグルーピングすることで、季節性変動などの全体傾向をとらえやすくすることができます。
記事グループで見るべきKPI
これら全体の以下のKPIを見ていきます。
- 記事グループのPV
- 記事グループのCVR
- 記事グループの平均単価
- 記事グループの承認率
記事グループのPV
記事グループ全体のPVが大きく下がっている場合は、以下を疑ってみると良いと思います。
- 記事グループの季節性変動【コントロールできない要因】
- 記事グループ全体の検索順位の下落【コントロールできる要因】
季節性変動
記事単位と同様ですが、記事グループにも季節性変動があります。例に挙げた転職エージェントなども、お休み期間(例えば年末年始)はPV数が少なくなります。また、連休明けに一気にCVが増えます。
季節性変動をみる場合、個別の記事よりも記事グループの方をみることをおすすめします。これは、記事1つ1つの場合、どうしてもPV数が少なく、季節性変動が見えづらいからです。
記事グループ全体の検索順位の下落
記事グループ全体のPV数が落ちている場合、一緒に特定の記事グループでの検索順位が落ちていないか確認してみましょう。例えば、コアアルゴリズムアップデートによって特定の傷グループが大きく下がるケースもあります。また、記事グループ単位で、クローラーへのアクセスなどを確認すると、グループに対してグーグルが正しく評価してくれているか確認することができます。
プロモーションごとのKPI
最後に、プロモーションごとのKPIを見ていきましょう。
これは例えば、リクルートエージェント、Doda、パソナなどのように、広告主の案件別に売上を見て行く形になります。
プロモーションごとの分析は、以下のKPIを見ていきます。
- プロモーションごとのCLICK数
- プロモーションごとのCVR
- プロモーションごとの承認率
- プロモーションごとの実単価
プロモーションごとのCLICK数
プロモーションごとのCLICK数が下落する場合は、以下を見ていきます。
- 季節性変動【コントロールできない要因】
- 特定の記事のCTRの減少【コントロールできる要因】
- 記事ごとのCV数の変化【コントロールできる要因】
季節性変動
こちらは今までと同様です。当たり前ですが、季節性変動は流入に影響を与えるので、CLICK数が少なくなる可能性があります。
特定の記事のCTRの減少
直近のリライト系の施策で、CTRが減少している施策がないか確認します。
記事ごとのCV数の変化
こちらも今までと同様です。
プロモーションごとのCVR
プロモーションごとのCVRが落ちる場合は、以下を確認しましょう。
- 季節性変動【コントロールできない要因】
- 広告主LPの変化【コントロールできない要因】
- 記事ごとのCV数の変化【コントロールできる要因】
プロモーションごとの実単価
実単価とは、発生金額 * 承認率をかけた値になります。つまり、1リードが発生した場合、全承認でいくらの単価になるかを計算できる変数です。
実単価が減少した場合、発生金額が減るか、承認率が減るかのどちらかになります。
ポイントとして、みるべきなのは、かならず発生金額や承認率のどちらかだけ追うのではなく、どちらも掛け合わせた数値で見ることです。例えば、
- 発生金額¥30,000, 承認率10%
- 発生金額¥20,000, 承認率50%
の場合、どちらの方が収益性が高い案件でしょう。
この場合、
- 実単価 = ¥3000 = ¥30,000 * 10%
- 実単価 = ¥10,000 =¥20,000 * 50%
なので、後者の方が大きくなります。必ず実単価で見ていきましょう。
最後に
ということで メディア全体の売上が落ちた時に確認する指標としては、
- まずメディア単位で見て行く
- ボトルネックがわかったら、記事単位、記事グループ単位、プロモーション単位で見て行く
というフローをとると、ボトルネックが分析しやすいのでおすすめです。